地形学は、地表の形態(地形)がどのように形成されてきたのか、また将来どうなるのかについて科学的方法で研究する学問です。地形学のフィールドは高山から、河川、海岸、海底まで、極域から赤道域まで多岐にわたります。筑波大学地形学分野では、野外観測と室内実験によって地形の変化の過程(プロセス)を明らかにします。

新着論文:林床の地形計測を想定した低価格モバイルLiDARスキャナの運用に関する検証

髙木さんの卒業論文をベースとした論文が、地形に掲載されました。

  髙木 優・小倉拓郎・佐藤昌人・田村裕彦(2024)林床の地形計測を想定した低価格モバイルLiDARスキャナの運用に関する検証.地形, 45, 161-174.



大学院説明会2024

4月20日(地球)・および5月11日(研究群全体・山岳)に開催される大学院説明会の日時・場所等について,

地球科学学位プログラム
https://www.geoenv.tsukuba.ac.jp/exam.html

山岳科学学位プログラム
https://mountain-studies.tsukuba.ac.jp/admission/

をご参照ください。

参考:令和7年度(入学)大学院入試関係日

2023年度 地形学野外実験A

11/6@大学(事前学習),11/28@伊豆東部火山群,2/7-8@伊豆大島
2年生を中心に25名が参加しました。

まずは,溶岩の断面を観察中。
快晴ですが強風,このあと写真の溶岩の噴出元にある大室山に行きましたが,火口へ登るリフトは風のため運休。コロナ禍前はほぼ2年に一度,野外実験で訪れていましたが,運休は初体験です。さらに翌日,熱海から大島へ渡る予定でしたが,この日,強風で伊豆諸島航路は軒並み欠航。翌日・翌々日の欠航可能性大と船会社から連絡を受け,このときの大島は延期になりました。

2月7日,大島再チャレンジ・・のはずが,今度は早朝つくばからの鉄道が車両基地停電といった理由で運休。振替輸送では朝の船に間に合わず,午後便で大島へ。
天気に恵まれず行程を短縮することはありますが,他のケースは珍しいです。

大島2日目,やや足早に島を巡りました。
写真は火砕物の露頭観察。まずは各自スケッチをしてもらいます。


海岸で別の露頭を観察。他で見てきた露頭と何が違うか観察して,ということでTAさんにはヘルメットを被らせてスケールになってもらいます。
幸い,この日は波が穏やかで元町港出港だったので,少しだけ時間を稼げました。こんな年もあるんですね。

2023年度地形学野外実験B(山口県防府市・美祢市秋吉台)

 地形学野外実験B(3年生対象)を、2023年9月24日(日)〜26日(火)に開講しました(担当:八反地)。その様子の一部を写真でご紹介します。

初日は山口県防府市の花崗岩山地を訪問しました。
2009年に崩れた斜面は現在どうなっているのだろうか...

山へ登り、花崗岩の節理を観察しました。

一部の尾根では植生が薄く、過去の人間の影響が残っています。
他の山との違いを感じます。

2日目には、秋吉台でカルスト地形を観察しました。

石灰岩の溶食によって生じた溝を観察しました。

秋芳洞(鍾乳洞)を見学しました。

3日目には防府市で、土石流が発生した当時の状況を推定しながら歩きました。

 この記事では現地の様子のみ紹介しましたが、この授業(地形学野外実験B)では、受講者が関連する論文を調べて資料を作成し、現地で解説、現地討論を行う、アクティブラーニング形式により実施しています。
 2024年度は宮城県仙台市・丸森町での巡検を予定しています。

文責:八反地・梶田

新着論文:近似円錐面を用いた土石流扇状地上の微地形の可視化

矢澤さん(2022年卒業)の卒業論文をベースとした論文が、地形に掲載されました。

矢澤優菜・小倉拓郎・原田駿介八反地 剛・田中 靖・土志田正二(2023)近似円錐面を用いた土石流扇状地上の微地形の可視化.地形, 44-2, 61-70.

GISを用いて扇状地の縦断面形から近似的に作成した円錐に近い地形面を利用した簡便な計算に基づき、人工改変された土石流扇状地上の微地形を可視化する手法を提案したものです。この手法を用いることによって、凹凸が小さい地形を判読しやすくなります。被災危険性の高い場所を抽出する上でも有用になる可能性があります。


大学院説明会2023

4月17日(山岳)・22日(地球)・および5月20日(地球・山岳)に開催される大学院説明会の日時・場所等について,

地球科学学位プログラム
https://www.geoenv.tsukuba.ac.jp/exam.html

山岳科学学位プログラム
https://mountain-studies.tsukuba.ac.jp/2023/03/24/1049/

をご参照ください。

参考:令和6年度(入学)大学院入試関係日程
https://www.tsukuba.ac.jp/admission/graduate-overview/information/2023-7-2024-2/pdf/7.pdf

日本地球惑星科学連合(JpGU)2023年大会

2023年5月21日(日)~5月26日(金)に、日本地球惑星科学連合(JpGU)2023年大会が幕張メッセ・オンラインのハイブリッドで開催されます。地形分野からも、院生やスタッフの発表があります。

  • Suzuki, K., Hattanji, T.Ogura, T., Furuichi, T., Tanaka, Y., Doshida, S.: Conditions for topographic changes in shallow landslide scars due to rainfall events: High-resolution analysis based on UAV-SfM approach
  • 齋藤健太八反地 剛小倉拓郎・古市剛久・田中 靖・土志田正二:UAV-LiDARデータと既存の航空LiDARデータを活用した水路頭の移動の検討 ―2018年7月西日本豪雨の事例―
  • 梶田大陽八反地 剛小倉拓郎・土志田正二・古市剛久・田中 靖:中世山城跡およびその周辺斜面における斜面崩壊の地形的特徴 ―2014 年広島豪雨の事例―
  • 松本 栞八反地 剛小倉拓郎・古市剛久・土志田正二・田中 靖:山口県防府市の山地小流域にみられる段丘堆積物
  • 高木 優小倉拓郎・田村裕彦・小口千明・早川裕弌・佐藤昌人・八反地 剛:高密度点群データを用いた地下文化遺産と表層地形の解析―田谷の洞窟における事例―
  • Ogura, T., Sakamoto, Y., Ando, K.: Measurement of microtopographical features using the low-cost mobile laser scanner in Nippara Limestone Cave, eastern Japan
  • 小倉拓郎:スマートフォンと3Dスキャンアプリを用いた簡易写真測量実習の試み
  • 飯塚浩太郎・山内啓之・小倉拓郎・のりたま・Kuroly:海岸地形を対象としたメタバース巡検の実践―VR内人流データによる時空間解析―
  • Tamura, Y., Hayakawa, Y.S., Morita, M., Oguchi, C.T., Ogata, K., Ogura, T.: Inclusive outreach design from the multidisciplinary research projects for the Underground Built Heritage “Taya Cave”
  • Yang, Y., Oguchi, T., Yamauchi, H., Ogura, T.: Assessing students' knowledge retention and mitigation behaviors using a VR flood system
  • Lo, T., Hayakawa, Y.S., Nakata, Y., Hayamizu, M., Ogura, T.Assessing the sediment connectivity and mobility with morphological changes in mountainous drainage basins following landsides by the 2018 Hokkaido Eastern Iburi Earthquake
  • Tamura, Y., Hayakawa, Y.S., Oguchi, C.T., Ogura, T.: Outline of sustainable research for the conservation and utilization of Underground Built Heritage "Taya Cave"